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今回は、80年代の後半に中心となった、認知症の方の置かれた周辺環境に注目するケアの考え方をご紹介していきます。
(5)環境そのものを問い直すケアの時代 1980年代後半
1980年代の後半に入ると、認知症の研究がさらに進み、認知症によって引き起こされる症状について、「中核症状」と「周辺症状」という分類で認知症を捉えるという考え方が広まりました。
[中核症状と周辺症状]
中核症状:認知症の中心となる症状で、脳の機能が損なわれることによってもたらされます。認知症による症状として必ず見られる症状です。記憶に障害が出たり、物事を認識・把握・判断する力が低下したり、時間や場所など、自分がいまどのような状況にいるかが分からなくなったりすることがあります。さらに障害が重くなると、相手の言葉が理解できなくなったり思ったことが言葉として表現できなくなる言語障害(失語)や、失行(※1)・失認(※2)などの症状が確認されるようになります。
周辺症状:中核症状が認知症の方へもたらす混乱や不安、ストレスなどが引き金となって発生する症状を、周辺症状と言います。徘徊や妄想、睡眠障害、抑うつ、攻撃的な行動などの症状があります。周辺症状については、人によっては症状が現れないケースもあります。
この時期より以前の認知症ケアでは、認知症の方の周辺症状としてもたらされる行為を「抑制」や「隔離」することで、問題を押さえ込むという対応が一般的でしたが、ここにきてその対処法に変化が見られるようになります。
脳機能の損傷によって引き起こされる「中核症状」とは異なり、「周辺症状」については、認知症の方の置かれた環境に、症状を引き起こす原因が見られることがあります。
認知症の方を取りまく周囲の環境が、どのような不安や混乱を認知症の方に与えているか。それについての理解を深め、介護する側のケアの仕方を含めて、認知症の方の置かれている生活環境を見直し、「周辺症状」に配慮したより適切な環境へと改善すること。
こうした環境の改善やコントロールによって、認知症の症状を緩和するというケアの方法が、この時期から一般的にとられ始めます。
※1:失行/物事を論理的に考えられなくなったり、状況を把握できなくなる状態。その結果、例えば食事や入浴などについて、その行為がどのように行なうものかが分からなくなり、その行動を行なうことができなくなる。
※2:失認/目で見えている物を、それが何かを認識できなくなる状態。
(参考文献:『改訂 認知症の人のためのケアマネジメント センター方式の使い方・活かし方』認知症介護研究研修東京センター
2006年)
※本稿は、2008年3月27日に舞浜倶楽部 新浦安フォーラムで行なわれましたスタッフ勉強会における、舞浜倶楽部
富士見サンヴァーロ 上坂施設長の講義をもとに作成しております。
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