季節の食卓

みなさん、こんにちは。フードビジネスコーディネーターの加賀谷恭子です。

仕事がら、いろんな食材を扱って調理をしています。食材は、季節ごとにおいしいものがあって、それは普段忘れかけている昔ながらのものもあれば、新しく生まれたものまで、本当に様々。折角ですから、これから私が出会ったいろんな食材を少しずつ取り上げて、食材のことから考えて作る“季節の食卓”をテーマに、コラムを毎月更新していこうと思っています。 
中でも、私はお野菜を中心とした極々シンプルな調理のごはんを得意としております。だって、農家のみなさんが手間隙かけて作った、自然のチカラが溢れんばかりのお野菜に触れると、余計なことはしちゃいけないなって思うんですよ。お野菜とじっくりお話して、一緒に調理法を決めたりしています。

複雑な調理や、派手なディスプレイはしません。普段、おうちで出来て、いつもよりちょっぴりステキ…という食卓を提案していきます。食べ物を見たり、触ったり、おうちでのごはんが楽しい!って思っていただけたらうれしいです。気が向いた時に、ふらりと見に来てくださいね!

オープンから4年半、ロコディッシュは多古米ひとすじ。これからも、地元千葉が誇る「多古米」を提供し続けていきたいと思っています。


第35回 多古米で、しあわせな食卓の巻

先日、友人に「どうしてロコディッシュは、一般的な飲食店が使っている米の2倍以上も値の張る多古米を使っているの?」と聞かれ、多古米にこだわる理由をさんざん語ったのですが、気がつけばこの3年間、「季節の食卓」で多古米を主役にしたことがなかったのですね。私が今まで食べた中で、一番好きなごはん「多古米」。宮城、秋田、新潟・・・各地の農家から直接分けていただいた自宅用の新米など、今まで甘みや香りが強くて美味しいお米はたくさん食べてきましたが、旨味の強さ、甘さの加減、食感などのバランスが絶妙な多古米がやっぱり好き。オープンから4年半、そしてきっとこれからも、地元千葉が誇る「多古米」を提供し続けます。

それでは早速、多古米でしあわせな食卓です。

ごはんが主役の食卓。お米を潰さないように、ふんわりお茶碗に盛りつけましょう。上から抑えるのは禁物。しゃもじは縦に切るように使います。空気を含んでお米が立つように盛りつけると、とってもおいしそう!

今回は、食卓の基本、一汁三菜です。とびっきり美味しいごはんに、汁物、それに焼き物、煮物、お浸しなど。これをいろいろ組み替える。普段、献立を考えるのに困ったら、この基本に戻ると意外と簡単でバランスの良いほっとした食卓になりますよ。

それでは、お料理の説明です。

白米の炊き方(炊飯器)

ごはんを美味しく研ぐ方法。いろんな方法がありますが、私はこの研ぎ方が一番美味しいと思います。 研ぎ方ひとつで、炊きあがりの香りや味が違います。 高い炊飯器を買ったのに、おうちのごはんが美味しくない!という方、ぜひこの研ぎ方でやってみてくださいね。

そうそう、米は保存方法も大切。精米した後は、冷蔵庫の野菜室などに入れておくと、味も香りも長持ちします。空のペットボトルに入れておくと便利ですよー。

2

<1回目と2回目は水を入れてから10秒以内に水を切ります>

  1. ボウルに米を4合入れて、まず水を入れながら5秒間軽く混ぜて水を止めます
  2. 6-7秒は動かさずに米を沈めて
  3. 8-10秒で水を捨て切ります
  4. これを、2回繰り返します

*お米は、最初に勢いよく水を吸収し始めます。始めの2回は、米の周りのホコリが水に溶けるので、それを吸ってしまわないように10秒以内に素早く流します。

3

<3回目、4回目は手でぐるぐる混ぜます>

  1. 流水の下で、米をぐるぐるかき混ぜて、水を捨てます
  2. これを2回くりかえします
*小さい頃、手のひらや親指の付け根でぎゅぎゅっと米を研ぐ方法を教えてもらったのですが、今は精米器が優秀なので、無理に力を入れなくても米同士がぶつかりあうだけで糠はカンタンに取れます。
*「水が濁らなくなるまで」というのを目安にしているという方もよくいらっしゃいますが、力を入れて研いで白く濁るのは、取る必要のない澱粉が剥がれてしまうこともあり、味が落ちるので気をつけましょう。

  1. ざるに30分あげておき、炊飯器の目盛りに合わせて水を入れます
  2. スイッチオン!
  3. 炊きあがったら、すぐにしゃもじでさっくりと底からかき混ぜて、フタを閉めて蒸らします
4

*経験上、炊飯器で炊くごはんは、4合〜6合くらいで炊くのが美味しいなと思います。あまり多かったり少なかったりすると、炊きあがりにムラが出来てしまうことが多いのです。

*少量で炊きたいというご家庭も、最低4合で炊いてしまって、残ったら炊きあがりから2時間以内に、一食分ずつラップで「ふんわり」包んで、チャック付のフリーザーバッグに入れて冷凍庫で保存し、食べる前にレンジで解凍すると美味しくいただけます。


ぶりの漬け焼(柚子風味)

ブリは、脂がのって美味しい時期になりました。お魚の漬け焼きは、意外と簡単。漬け汁の分量も、基本は1:1:1。いろんなお魚で試してみてくださいね!今回は、上に針柚子(柚子の皮を針のように細く切ったもの)をのせました。何ものせなくても美味しいし、ゆずこしょうを添えたり、大根おろしを添えたりしてどうぞ。


  1. 酒:醤油:みりん=1:1:1で混ぜて、ブリの切り身を約30分漬けます(ここで余分な水分や臭みが抜けます)

  2. 焼き網に薄く油を塗って、強火にかけて網を空焼きします


  1. ブリの水気を軽くふいて、網の上で(強火の遠火で)両面こんがり焼きます

  2. 柚子は皮を薄くむいて細かい千切りにし、焼けたブリの上に少し乗せます

 

小松菜のくるみみそだれ

秋冬は、小松菜がおいしい時期。茎の根本は、特に甘みが増しておいしくなってくるので、根っこを切る時はギリギリで落とすようにします。一度冷水でシャキッとさせてから茹でるとシャキシャキの歯ごたえ。




    1. 小松菜の根だけを切り、茎の太いところに十字に切り込みを入れます

    2. 冷水にしばらく浸してシャキッとさせます

    3. 鍋にたっぷりの湯を沸かして、塩を入れ、良く洗って根っこを取った小松菜の根の方から湯に入れて茹でます

    4. 根がまだ少し固いかな?くらいで湯を切り、手早く流水で冷やします(素早く冷やすと、キレイな緑色に仕上がります)

    5. 水気を切って、3cmくらいの食べやすい長さに切ります

    6. もう一度、しっかり水気を切ります

  1. ミキサーで細かく砕いたくるみ50g、白みそ50g、みりん50ccを鍋に入れて混ぜながら火にかけ、みりんのアルコールを飛ばしながら練り、くるみみそを作ります。

    *くるみみそは、余ったら冷蔵庫で保管OK!他の茹で野菜につけて食べても美味しいですよー。

  2. 小松菜を盛りつけ、くるみだれをかけます

 

牛肉のしぐれ煮

ごはんの友といえば、牛肉のしぐれ煮。しっかり味を含ませて仕上げます。母が教えてくれた「牛肉とごぼうの炊き込みご飯」で牛肉+ごぼう+醤油の最強タッグを知ってしまったので、しぐれ煮もゴボウ入りで。


*生姜一片というのは、親指の第一関節までくらいの大きさを目安に
  1. ごぼうは、たわしで土を落とし、細かいささがきにし、切ったそばから水に浸していきます

  2. 牛肉(バラでも小間でも)を一口大に切ります

  3. 生姜2片はよく洗って、皮ごと千切りにします


  1. ブリの水気を軽くふいて、網の上で(強火の遠火で)両面こんがり焼きます

  2. 柚子は皮を薄くむいて細かい千切りにし、焼けたブリの上に少し乗せます

 

豆腐のおみおつけ

つものおみおつけも、お豆腐をどーん。網焼きした油揚げをばーん。大きさを変えるだけで、いつもとちょっと違うおみおつけに。

 
  1. 昆布とかつおぶしで出汁をとり、味噌を溶き入れます


汁の取り方は、季節の食卓2006年9月号参照

  1. 豆腐を器に入るくらいの大きさで切り、ゆっくり味噌汁に入れて沸騰しない程度に弱火にかけてあたためます
  2. 油揚げは、そのまま熱した魚焼き網で両面に軽く焦げ目がつくまで焼きます
*油揚げは、フリーザーバッグに入れて冷凍保存が可能です。一度に全部焼いて、冷凍庫にしまっておけば、次に使う時は、おみおつけにそのまま入れるだけ!

それでは、多古米でしあわせな食卓の今回の主役。

五木田さんの多古米

千葉県多古町の多古米。

多古米。食べたことありますか?
千葉が誇る、ほんとうに素晴らしいお米です。千葉県多古町の米作りに最適な粘土質の土壌で育てられたコシヒカリ系列のお米。収穫量が少なく希少価値が高いので、「幻の多古米」とも言われています。
 日本米作り100選や、「全国自主米品評会」で食味日本一になったこともある多古米は「多古米におかずはいらない」と言われるほど。私、本当におかずなしで、五木田さんの多古米のごはんだけを一膳ぺろりと食べたりします。もちろん、世の中には甘みがたっぷりのお米や、旨味の多いお米も存在するのですが、その中でも多古米は風味、旨味、味のバランスが良く、モチモチしているのにベタベタしない、ゆっくり味わって楽しめるごはんなのです!
 初めて食べた時に一番びっくりしたのは、玄米。一晩浸さなくても、炊飯器の玄米炊きモードでしっとり炊ける。数時間浸しておけば、炊飯器の通常モードでしっとり炊ける。他の米と比べて、水分量が多いことがはっきりわかります。白米と同じように、ふんわりしっとりおむすびを握れます。ロコディッシュに来る子どもたちも、玄米が好きな子が多く、玄米初挑戦の子がママの心配をよそにおかわりすることも珍しくありません。ロコディッシュでは、玄米の方が白米よりも断然人気です。
 ・・・と、まあ語り出したらキリがないのでこのへんにしておきますが、私は大の多古米ファンです。そして、その中でも、五木田さんのお米が大好きなのです。
 多古米が好きだってことを、こんなに熱く語る人なんて、他にいないんじゃないかと思っていたら、先日、姉妹店のタイヤキカフェ&ダーツバーNEOでトークライブをやった、BayfmのDJ小島嵩弘さんは、五木田さんを米作りの師匠とする「多古米親善大使」だったのでした!(笑)小島さんの番組「POWER BAY MORNING」に五木田さんがほぼレギュラー出演しているとか。
 せっかく千葉に住んでいるのですから、千葉の土地のパワーをいただきましょうよ。多古米ばんざーい♪千葉に住んで良かったと思うことのひとつです。

ロコディッシュは、今月から「鍋」はじめます。
鍋コースの種類は、「黒」と「白」。鍋で「多古米のすごさ」を実感してください。
「黒」鍋コース
 お馴染み静岡おでんのスペシャルバージョン。最後に「多古米」で雑炊です。
 静岡おでんの黒いだし+多古米の黄金コンビをぜひお楽しみくださいね!
「白」鍋コース
 
丁寧に取った鶏ガラだしに「多古米」を入れた、おもゆのだし。
 多古米の旨味が溶け出しているだしの鍋は最強です!