季節の食卓

みなさん、こんにちは。フードビジネスコーディネーターの加賀谷恭子です。
仕事がら、いろんな食材を扱って調理をしています。食材は、季節ごとにおいしいものがあって、それは普段忘れかけている昔ながらのものもあれば、新しく生まれたものまで、本当に様々。折角ですから、これから私が出会ったいろんな食材を少しずつ取り上げて、食材のことから考えて作る“季節の食卓”をテーマに、コラムを毎月更新していこうと思っています。 
中でも、私はお野菜を中心とした極々シンプルな調理のごはんを得意としております。だって、農家のみなさんが手間隙かけて作った、自然のチカラが溢れんばかりのお野菜に触れると、余計なことはしちゃいけないなって思うんですよ。お野菜とじっくりお話して、一緒に調理法を決めたりしています。

複雑な調理や、派手なディスプレイはしません。普段、おうちで出来て、いつもよりちょっぴりステキ…という食卓を提案していきます。食べ物を見たり、触ったり、おうちでのごはんが楽しい!って思っていただけたらうれしいです。気が向いた時に、ふらりと見に来てくださいね!

第2回 もう春なんだなぁ…という のほほーんな食卓の巻

 

街を歩いていて、ふと“春の匂い”を感じる瞬間ってありませんか?ずっと冬だと思っていて、まだまだ寒いからとコートを手放せず、足早に歩く・・・そんな時にハッとするその匂いは、とっても幸せな気持ちにしてくれるものです。でも、なかなか気付かないことも多いんですよね。心に余裕のある時にしか、その匂いはしてこない。卒業、入学、部署異動や転職など、精神的に不安定になることも多いこの時期、いっそのこと、食卓にその“春の匂い”を持ってきてしまうのはどうでしょう?おうちでのごはんで、ほっとする時、のほほーんな食卓を作ったら、春の匂いにもきっと気付いて幸せな気持ちになるはず・・・

それでは早速、春のほほーんな食卓です。

もう春なんだなぁ…という のほほーんな食卓

菜の花畑でごろんと寝転がって空を見上げたり、静岡の海沿いをドライブしながらいちご狩りしたり。そんなのんびりした感じを、器と食材の色で作ってみましょうよ。
菜の花の緑と黄色。いちごの赤。これだけで、充分可愛らしい食卓になります。後は、空と海の穏やかな青を少しと、心が落ち着く土色をベースに食卓を構成します。

(左下から)

●多古米のたわらごはん・・・ 前回登場した、多古米。炊きたてはもちろん、冷めてもおいしい多古米は、のんびり食事をしても最後の一口までおいしくいただけます。
●菜の花のおみおつけ・・・ おみおつけの作り方は、前回ご紹介したとおり。菜の花を茹でた後、割り醤油をかける前に、葉先を取っておき、おみおつけに浮かべます。
●くきわかめ佃煮・・・ 千葉県富津のもの。千葉の多古米にぴったり!
●鰆の塩焼・・・ 魚へんに春と書いて「鰆(さわら)」。今の時期は、産卵前で脂がのっていて美味しいんです。今日は福岡の漁場のもの。どちらかというと淡白な味なので、西京焼きや、照り焼きにすることが多いですが、後引く旨みを楽しむのに塩焼きも好きです。水分が多いので、塩を振って冷蔵庫で少し寝かせて、ペーパータオルで軽く水気を切ってから焼くと、身が崩れにくくなります。大根おろしを添えて。
●菜の花のおひたし・・・ 菜の花の調理でご説明したとおり。         
→この後の、菜の花の調理でご説明いたしますね。
●菜の花・・・ あまりにも可愛らしかったので、茹でる前に少し切ってお湯のみに活けてみましたよ。
●いちご「章姫」・・・ 葉っぱの形の緑の器の上に、並べました。ひとつずつ、味わいながらゆっくり食べるなら、こんな盛り方も良いのではないかと思います。いちご狩りしてるみたいでしょ?
●静岡まるき園の緑茶・・・ 静岡のいちごには、静岡の緑茶でしょう。「まるき園」は、お茶農家さんの屋号。市販の緑茶は、味と値段のバランスを保つためにブレンドしているものが多いですが、これはブレンド前のもの。真っ直ぐな味と香りがします。。ポットのお湯を、一度湯呑みに移してから注ぐと、湯呑みも温まり、温度も少し下がって一石二鳥。一煎目の湯を入れたら、最後の一滴まで湯呑みに入れましょう。おいしさが違います。


それでは、春のほほーんな食材たちを紹介します。

*静岡いちごの代名詞 「章姫(あきひめ)」と、同じく静岡の新品種「紅ほっぺ」
*千葉の房総からやってきた「菜の花」

 
いちご
いちご
写真:章姫

いちご「章姫」

1991年 静岡県静岡市久能うまれ。父は、かの有名な「女峰」、母「久能早生」の間に出来た箱入り息子。かわいい子だけど旅はさせず、開発者の萩原章弘さんは、「地元の人に食べてもらうために作ったんだ。」と、なかなか県外には出していないので、見かけることが少ないかもしれません。絶世の美男子!

いちご「紅ほっぺ」

2000年 静岡県うまれ。父「章姫」、母「さちのか」の間に生まれた、とっても可愛らしい女の子。中まで真っ赤でぽっちゃり大粒なので「紅ほっぺ」という名前がつきました。両親の影響もあり、甘く酸っぱくバランスの良い子です。

 

保存と調理

保存しないで、すぐに生で食べるのが一番!どちらもミルクなしで充分いけます。
栄養分が流れ出てしまうので、ヘタは水で洗った後に取りましょう。

もしも保存する場合は、定番のいちごジャムなんかどうですか

 

いちごジャム

  1. いちごを洗ってから1つずつヘタを取り、重量の60%以下で好みの甘さの砂糖をまぶして、鍋に入れたまま2〜3時間しばらく置きます。
  2. 水気が出てきたら、そのまま火にかけます。始めはフタをせずに強火で、ふつふつしたらアクを取ってレモン汁を入れ、あとは焦げないようにかき混ぜながら中火〜弱火で。
  3. とろりとしてきたら、保存ビンに入れて冷ましてから冷蔵庫へ。
  • 粒がゴロゴロ残ったままでも、軽く潰してもお好みで。
  • 砂糖は、「きび砂糖」や「てんさい糖」を使うと柔らかな甘味で、いちごの味が引き立ちます。
  • 砂糖は、たくさん入れるほど保存性が高くなります。
  • 保存ビンは、熱湯かアルコールで消毒しておいてくださいね。

保存レシピもうひとつ。

いちごシャーベット

  1. 牛乳を少し温めて、はちみつ(好みの甘さ)を溶かしておきます。
  2. いちご:はちみつ牛乳(2:1)を、ミキサーで混ぜて(へらでいちごを潰しながら混ぜてもOK)、冷凍庫へ。
    食べたい時に、スプーンでガリガリして器に盛って。食後のデザートやお風呂上りに最高!1ヶ月くらいおいしくいただけますよ。

「たくさんいただいちゃったわ。」という時のお助け保存レシピ。

いちごのスムージー

いちごを洗ってヘタを取ります。(ここまでは、1〜2日中にがんばってください!)
そのまま、保存用冷凍バッグに入れて冷凍庫へ。

「スムージー飲みたいな。」という時に、凍ったいちごと、牛乳、氷、お好みではちみつやお砂糖を入れ、ミキサー(氷も砕く強力なもの)で、ジャーンとやります。
極端に不味くなることはないので、分量の割合でいろいろお楽しみください。
ブルーベリーやラズベリーなどの冷凍フルーツや、バナナを切ってレモン汁を振り凍らせておいたものを一緒にミキサーにかけてもおいしいですよ。

 

栄養のこと

よく、「レモン○個分のビタミンC!」と書いてある食品パッケージを目にします。ビタミンCの黄色いイメージでレモンを使っているようですが、実は、いちごもすごいんですよ。1粒で、それこそレモン1/2個分のビタミンC。ビタミンCは、ウィルスや細菌に対する抵抗力を高め、風邪予防に効果的。新陳代謝を高め、しみ・小じわ・肌荒れなど、私が常日頃気にしていることにも効果があります。あ、いちごだけで治ってしまうというわけではないですよ!念のため。

 
菜の花
菜の花 千葉県房総半島出身。明るくて可愛らしい彼女は、周囲をとっても穏やかな気持ちにさせてくれます。毎年ニュースで取り上げられ、ドライブコースになるほどの人気もの。
食べるとほんのり苦味を感じる、そのギャップがまた素敵。飾って良し、食べて良し。言うことなし!
 

保存と調理

保存は考えない方が良いですが、一度水にくぐらせて、冷蔵庫に立てておくと新鮮なものなら2〜3日は持ちます。冬の土に植わっていた時に近い状態にしてあげてください。黄色いお花が咲いても食べられますが、つぼみか少し開きかけくらいが舌触りも良く、食べ易いです。

菜の花のおひたし

菜の花のおひたし

何はともあれ、おひたしでしょう。菜の花のほろ苦さ、春の香りを楽しむのには、これが一番!

1.菜の花の根元の部分を少し切って水につけ、シャキーンとさせます。

2.茎が極端に太いものは、枝分かれしている部分から包丁で縦に裂いておくと、均一に火が通り、食べ易くなります。

3.塩ひとつまみを入れたたっぷりの熱湯で茎の方から入れて、さっと茹でます。

4.茎の中心が、半透明になるかならないかくらいで引き上げ、氷水に入れて手早く冷やします。(長く水に浸けていると、栄養分が流れ出してしまうので、さっさと冷やしましょう)

5.菜の花の根元を揃えてまとめ、葉の方に向けて水気を絞ります。

6.適当な長さに切ります。(茎の方を短めに、葉とお花を長めに切ると、盛り付け易くて食べ易い)

7.ここからが肝心!割り醤油(だし:醤油=3:1)をかけておくと、水っぽさが消えますよ。

8.茎を下に敷き、お花が咲いているように盛り付けて、おかかをかけ、お醤油を添えます。

  • お醤油は、おいしいものを使いたいですね。千葉はお醤油もおいしいものがたくさんあります。房総の菜の花を、千葉のお醤油で。おいしいに決まってます!
  • 辛子を醤油で溶いて、辛子醤油和えも渋いです。
  • 家族みんなが大好きな定番ドレッシングがあれば、それもいいですね。ドレッシングで豪快に和えて盛り付ける。油を切ったツナ缶を入れると、苦味が苦手な方も食べ易いですよ。
  • メインのお料理が揚げ物や、焼き物で、色が全体的にくすむような時、横にちょこんと添えても素敵。鮮やかなコントラストの緑と黄色を活かしましょう

 

 

栄養のこと

菜の花は、ビタミンA、B1、B2、C、カルシウム、鉄が豊富。春野菜の中でも栄養価の高い食材です。3月は、まさに旬。収穫量が多いので、価格も下がり、栄養価もより高いものが出回ります。おみおつけの具や、ちょっとした添え物など、少しずつでも頻繁に登場させたい葉物です